2010/02/26

岡本太郎現代芸術賞レセプション

第13回 岡本太郎現代芸術賞のレセプションへ向ヶ丘遊園へ行く
特別賞を受賞した長谷川学さんの作品『風の前の塵』をみる
この作品は紙に鉛筆でひたすら黒くなるまで塗り続けたものを素材としてマシンガンや銃、その銃弾、巨大な作品になるとミサイルや拡大された銃弾にみえるものを制作しています。素材は接着剤以外、紙と鉛筆というミニマルさがまた良い。鉛筆の持つ黒さは正確にいえば黒鉛(炭)と粘土を混ぜ焼いたものを素材にしているそうですが角度によって鈍い光を放つ。紙が金属のような重みを持った質感に変容してみえる。それらを使用して出来た、銃やマシンガンなどは驚くほど精巧に作られ刻印やグリップの質感なども表現されています。線の歪みなどが僅かにある箇所がありこれによって本物ではなくハンドメイドということがかろうじて判明できます・・・しかしこれは紙だということがポイントで手に持ち実際に使用しようとするのならばたちまちその形は崩壊し素材そのものの顔が出てくる、社会的問題背景とも関連できるし芸術的観点からも平面・立体を同時に意識している作品だということを想像できます。巨大な作品ではその実際のスケールにより生じる自重で歪みやへこみなどが鮮明に見える為、素材・スケール・重力を感じさせるものとなっている。
特に銃シリーズはどのように作ったのか本当にわかりませんでしたし作品として美しかったです
作品の精度や与える印象、設置などトータルにみるとやはり他の作品よりは抜きん出て良い仕事をしている印象をうけました。昨今いわゆる制作を業者に任せた発注芸術だったり過剰な資金にものをいわせ制作するようなものに対しこのような制作態度は清々しいし、どんな社会変化でも動じない真の芸術家のように思います。生憎、長谷川さんは対応に忙しそうだったので軽く挨拶をして近々三崎へお邪魔することを約束しました。
さてその後はお世話になっている作家の瀬尾さん(ダンナ)から突然の誘いで町田で飲むことに。またまた美味しい料理とお酒で様々な話をし、ふらふらで最終電車に乗車したのでした