バスに揺られて数時間、香川県高松駅に着き新たに3人が加わり、『イサムノグチ庭園美術館』へ行く。過去大学生時に一度この場所を訪れているのだが、殆ど覚えていなかったことに気づかされる。庭園美術館の周りには石材店が密集していて、良質な石材は勿論、この彫刻家に憧れて仕事場を構えているのもいるのだろう。庭園美術館の背後には石肌がむき出しの山が見える。作家がニューヨークとこの場所を拠点に制作していたことに思いを馳せる。学芸員の説明によると、作家がまずこの場所で行ったことはアトリエの周りを円形状に囲っている石垣を組んだとのこと。石垣の高さは大人の身長よりも若干高かっただろうか、その高さを超えると見えてくる風景は溶岩で出来た屋島が後方で視線を受け止める。始めの土台部分は割合大きな石を使用し、上段にいくに従い細かなものを積んでいるため、大きさによるグラデーションが出来ていて美しい。そのようなこともあってか単純に『緩やかな子宮回帰』の印象を受けた。心が安心出来る環境を作るため屋島や後方の山を借景し、囲いを組んだのではないだろうか、繊細な印象を受けた。隣にある元々は段々畑の場所を作家が公園のように整備している箇所があるのだが、その公園に入る入り口の急な階段がとても印象に残った。