佐賀のプロジェクトスペースkenakianで行った『星廻り』展に寄稿していただいたものをこちらの方へも記載いたします。今回は芸術家の里実咲さん
烏山先生の作品に歩み寄り間近で見ると、ひとつひとつの点にゆらぎがある。オーガンジーに顔料が染み入ってできたゆらぎ。筆を握る手が震えてできたゆらぎ。顔料が思いのほか流動的に動いた時にできたゆらぎ。作品はその全体を視野に収めると神経質とも言えるような、統制された規則正しさで完成して見えるが、点のひとつひとつを見つめると、それぞれのストーリーが見えてくる。先生の美術予備校に通っていた私は、制作する風景を目のあたりにしていた。初めてその光景を見た際、整然とした作品の見た目とは裏腹に、制作するスペースと日常生活が近い距離であることにギャップを覚えている。生徒が行き交う廊下のそばの部屋で、ある時は真夏に空調もない屋根裏のような部屋で制作していた。それから数年がたった今、先生は繁華街の側溝で、海辺で、範囲を拡張し絵画制作を続けている。私はいつも驚いてばかりだ。里実咲(芸術家)