2022/06/25

アズマテイプロジェクト#30「わしの、あたいも逸品(芸術)祭」のお知らせ

 


展示のお知らせです。どうぞよろしくお願いいたします

烏山秀直HP https://www.karasuyamahidetada.com



PROJECT#30

​Group Show - "MATSURI"

Artists: Takuro Ishii, Ami Iwasato, Yuji Ota, Shin Okuyama, Kenzo Onoda, Seiko Onda, Ryuhei Kaiho, Hidetada Karasuyama, Ryuhei Kawashima, Kota Saito, saku, Misaki Sato, Akiko Shintsubo, Takeshi Tomoda, Tetsuaki Nanjo, Naoko Harada, moco, Rieko Yamamoto, Gisho Yuzan

15, 16, 17 July  2022

Open hours:

15 Friday | 16:00-20:00

16 Saturday | 11:00-20:00

17 Sunday | 16:00-20:00


プロジェクト#30

"わしの、あたいも(芸術)祭"

出品作家:石井琢郎、岩里杏美、太田祐司、奥山慎、小野田賢三、恩田聖子、海保竜平、烏山秀直、川島竜介、斎藤浩太、saku、里実咲、新津保朗子、友田威、南條哲章、原田直子、もこ、山本利枝子、游山義彭

企画・文章:烏亭(P•A•D)


会期:2022年7月15, 16, 17日

前夜祭 15(金)  16:00-20:00 

本 祭 16(土)  11:00-20:00

後夜祭 17(日)  16:00-20:00

入祭料:1日1000円、2日2000円、3日2000円

屋台風ナガサキケンサンピンほか冷たい物冷やしておきます。

協賛:見世真理乃、パロマ、諫早造形研究室、I・Z・K gallery、イサハヤゼミナール、小畑久美子、岸川宏子、北波慶子、ギャラリーカメリア、SEIKO、下村栞由、ナガサキファクトリー、野田邦弘、ボルケンホフ、モトノスタジオ、臨済宗大徳寺派興聖禅寺

— 突如ポストに届いた一枚の封書。それは我々の活動拠点である伊勢佐木町センタービルからの退去命令であった —

 

 あまりにも唐突で、現実味を感じられなかった。築65年を越えていればこんな日が来ることは頭のどこか片隅にはあったが、ガタはきていても用は足りるしこの先も存在するだろう、とどこか楽天的にも捉えていたのだ。まさか「その日」がこんなにも早く来るとは思っておらず、「退去命令」という決定事項に理解も気持ちも追いつかなかったというのが本音である。この空間が持つどこか現実離れしたというか、世俗と切り離されたような、あるいは世俗の末端のような、言い表しがたい感覚に慣れていたAZPメンバー一同に、この街からこの建物がなくなるという事実は衝撃を持って迎えられた。けれども、始まりがあれば終わりもある。その事実を受け止めたいま、この特殊性を帯びたAZPの代名詞的空間とこれまでに行ってきた数々の展示や作品に敬意を表し、そして今までここに携わってくれた全ての人たちに対して、この機会にいちど何かしらのお礼や感謝のアプローチを試みたいと考えた。できるだけ誰もが水平に、作り手側とそれを見る側が入り混じるような関係性が可能な空間を作れないか—そこで現れてきたのが「祭り」だった。


 一説によると、日本には大小約30万の祭りがあると言われている。幼い頃は両親に連れられて、思春期以降になると友達と自転車に乗って出かけ、祭りを口実に意中の人を連れ出した。中央にはステージが設けられ、のど自慢大会のようなカラオケ、子供たちによるダンスショーなどがプログラムに沿って進行している。そのステージ周りを数々の屋台が囲むように出店し、威勢のいい兄さん姉さん、渋いおじさんおばさんがジュージューと煙を立てて切り盛りしている。食欲を掻き立てられながら、金魚やヨーヨーをすくい、何だかよくわからない商品が当たるくじを引き、ピカピカと蛍光色が点滅するブレスレットだったりド派手に着色されたヒヨコやミシシッピアカミミガメが売られるなかで、祭囃子にのっかって、気持ちがどんどん高揚させられる。

 そして昨今、日本全国津々浦々でアートによる町おこし的な役割を持った芸術祭が加わり始めた(芸術祭という名称は、東京藝大の前身である東京美術学校の文化祭で最初に名付けられたらしい。だから「国際芸術祭」という言葉を初めて聞いた時には、あの文化祭が大規模で行われるものなのかしらと勘違いした記憶がある)。一時的に新型ウイルス感染拡大による開催中止や延期などの影響はあったが、ここ最近では着々と(虎視淡々というべきか)開催が発表され、アートの持つ繁殖力はさながらウイルスのようでたくましい。否、人々がその魅力を求め続けた成果が今結実してきているのであろう。乱暴な言い方だが、開催地の風土や歴史・特色を調査し、きっかけを基盤にディレクターの意図する芸術(アート)観でアーティストを選出し、それぞれの作家が作品を発表するそれらの祭りは、あの夕闇にぼんぼりが灯され風に揺られ、雑多なものが畳み掛けるように五感を刺激し続ける、高揚を強いられるカオティックな場としての「祭り」とはどうやら異なる類いのものなのかもれない。まつりとは「祀る」「奉る」「祭る」ことであり、神や先祖、動物、自然、目に見えるものや見えないもの、物質的なもの精神的なものなど多様な対象を崇拝・信仰することであるはずだ。そしてそれら崇拝対象に誰もがみな平等な役目・役割を果たすこと—みなが自然と入祭し、そこに真の水平が現れ、おおらかな全体感が生み出されることが重要だ。


『わしの、あたいも逸品 (芸術)祭 』では、解体が決定しているセンタービル3階のAZPスペースを祭り会場と定め、入祭者それぞれが持つこだわりの「逸品」とその魅力を発信する「己」、さらにそこへ集う者たちも崇拝対象となり、入祭する。音楽家であれば楽器や影響をうけたレコード、画家や彫刻家ならばそれなしには作品が成立しない道具、調理師や美容師であれば客に喜んでもらうための道具もそうであろう。また、どうにも捨てられずに手元にずっと置き続けてしまっている特に役に立たないものであっても、「逸品」と言えるだろう。そんな各々が持ち寄った自慢の、思い出の逸品についての詳細やエピソードを祭りの柱とする。入祭者も鑑賞者も「逸品」を発端にして存分に語りあう場となるだろう。夏の夜風が耳元まで運んでくる遠くの会話くらいにしか聞かれなくとも、話が逸れ脱線しても構わないではないか! 入祭者が持ち寄る「逸品」に共感を抱く必要はない。それは「己」のみが抱えた超個人的なこだわりの話なのだから。誰もが感嘆するようなものだけでなく、他人から見れば取るに足らない小さな逸品もあるだろう。有象無象が並び語り合う空間はまさにカオスだ。それは、抑えきれない高揚感を味わったあの祭り、展覧会とも呼ぶこともできない「我々の祭り」である。

 

 このセンタービルに30年以上も放置されていた大生商事。この旧印刷所を弔うかのようにその跡地で活動を始めたアズマテイプロジェクト。ここでの活動がカウントダウンを迎えるなか、AZP#30として7月15日の新盆から本祭をとり行う。入祭者と鑑賞者という関係こそあれ、祭りに関わる演者として共に入祭し、伊勢佐木町センタービルへ手向ける我々の(芸術)祭としようではないか。

 

烏亭 (P•A•D)

アズマテイプロジェクトでは、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から必要な対策を引き続き講じてまいります。

●「特措法に基づく緊急事態措置に係る神奈川県実施方針」

 

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